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肺年齢を知ろう!

                 1.肺年齢とは?

                 2.肺年齢とタバコ

                 3.自分の肺年齢を知る

                 4.肺の健康維持のために

                 5.COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?

                 6.COPDチェック!(質問票で簡単な自己チェック)

                 7.プライマリケアの先生方へ

−肺年齢とは?−

 肺年齢とは、1秒間に一気にはいた息の量(一秒量)を測定し、自分の肺の働きが年相応かどうかを確認する目安です。見た目では分からない肺の健康状態を知る手がかりとなります。
 この肺年齢を知ることで肺の健康意識を高め、健康維持や禁煙、呼吸器疾患の早期発見・治療に役立てることができます。

−肺年齢とタバコ−

 タバコを吸っている方は気管支がタバコにより痛んでおり、一気に息をはくときに気管支がつぶれやすくなります。したがって一秒量が下がり、肺年齢が上がります。肺に目立った病気のない方でも、喫煙者は実年齢より7歳以上も肺年齢が年をとっています。

 COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気はタバコが主な原因とされていますが、初期の段階では咳や痰、息切れなどが主な症状で、これは風邪や年のせいだと考えて見過ごされがちです。タバコで壊された肺は元にはもどりません。今は問題がなくとも、肺年齢を知ることで肺の健康度を把握しておくことが大切です。

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−自分の肺年齢は?−

 肺年齢を調べる呼吸機能検査は、医療機関で受けることができます。

 健康診断などで行う胸部X線(レントゲン)検査は肺の異常を見つけるものですが、呼吸器の病気の早期発見は難しいといわれています。早期発見のためには呼吸機能検査が必須です。

 実際の検査は検査装置に対して息を吹き込むだけの簡単なものです。検査により算出された肺年齢は、実年齢以上の年齢が表示されることもあれば、逆に実年齢より若く表示されることもあります。評価コメントとあわせて健康維持に役立てましょう。

−肺の健康維持のために−

 肺年齢が実年齢以上で、呼吸器の病気の疑いがあると評価コメントで指摘があった場合は、専門医による精密な検査や早期治療が必要です。できるだけ早く受診しましょう。薬物療法や呼吸リハビリテーションなどにより、症状の改善や病気の進行を抑えることができます。
 また、肺年齢が実年齢よりも若い場合でも、加齢により呼吸機能は落ちていきますので、定期的に肺年齢を測って肺の健康維持に役立ててください。

 その他、肺の健康維持については生活習慣も大事です。現在、世界の死亡率で第4位のCOPDは肺の生活習慣病と言われています。特にタバコを吸われる方については禁煙が第一です。

−COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?−

 息苦しさをもたらす慢性の呼吸器の病気として、肺気腫や慢性気管支炎がありますが、これらを
COPD(慢性閉塞性肺疾患)と呼びます。

 COPDはタバコなどの有害な空気を吸い込むことによって、空気の通り道である気管支や、酸素の交換を行う肺胞などが壊れる病気です。 咳や痰、息切れが主な症状ですが、症状が進むと呼吸困難で日常生活の動作に支障をきたし、最終的には呼吸不全で死に至ります。

 COPDは別名
タバコ病ともいわれ、日本では500万人(40歳以上の8.6%)もの患者がいると推測されています。世界中で近年増加の一途をたどっており、今後も増え続けると予想され、社会的にも注目されています。

その息切れ、COPDかもしれません。
−COPDチェック!−

プライマリケアの先生方のもとに多数のCOPD患者さんが潜在しています
 NICE study※ の結果から、40歳以上の日本人の8.5%がCOPDであると推定され、COPDはこれまで考えられていたよりも有病率の高い病気であることが明らかになりました。また、福岡COPD研究会(久留米大学医学部相澤久道教授主宰)が、プライマリケアの先生方のもとに通院中で、呼吸器疾患を指摘されたことがない患者さんを対象にスパイロメトリー検査を行った結果、40歳以上で16.3%、特に70歳以上では26.9%にCOPDの疑いがあることがわかりました。(下図)

 COPDはタバコが最大の要因となる全身性の病気で、様々な生活習慣病を合併しますので、日常診療において糖尿病や高脂血症、高血圧などで診ている患者さんの中に多くのCOPD症例が存在することを意味しています。
        ※NICE stydy : Nippon COPD Epidemiology Study
薬物療法の中心は気管支拡張薬です

 COPDに対する薬物療法の目的は、症状の軽減や増悪を防ぎ、QOLや運動耐容能を向上させることで、中心となるのは気管支拡張薬です。気管支拡張薬の中でも、短時間作用型気管支拡張剤である吸入薬は軽症COPDよりすべての重症度において、起床時、入浴時、階段の昇降時、労作時等の息苦しさを感じる時に屯用での使用が推奨されています。

 短時間作用型β2刺激薬である塩酸プロカテロール(メプチン)の吸入薬は、気管支喘息よりもゆっくりではありますが、COPDに対して吸入早期より強い気管支拡張作用があります。また、COPD患者さんを対象とした自転車エルゴメータによる運動負荷試験の結果では、メプチンの吸入によってVo2max(最大酸素摂取量)が有意に増加し、運動耐容能が改善されることが示されました。このことから、例えばメプチンを朝に2吸入することにより、午前中の動作が楽になることが考えられます。
 また、増悪時の吸入薬の第一選択は、短時間作用型β2刺激薬であり、常に携帯しておく必要があります。

気管支拡張薬の使い方は、単剤の増量より多剤併用が好ましい

 安定期COPDの気管支拡張剤の第一選択は長時間作用型気管支拡張剤の吸入でありますが、長時間作用型抗コリン剤と短時間作用型β2刺激薬の併用により、相加的に気管支拡張効果が得られることも知られており、単剤の増量より多剤併用が好ましいといえます。
 実際、私は中等症のCOPD患者さんに対して、臭化チオトロピウム(抗コリン薬)や徐放性テオフィリン製剤など、1日1回投与の薬剤を定期使用していただき、メプチンクリックヘラーを朝1回2吸入、その他、活動する前に2吸入するという方法で併用するように指導しています(1日最大4回8吸入まで)。

(図)各年齢層に占めるCOPD疑い症例(1秒率70%未満)の割合
プライマリケアとは??
患者が最初に接する医療の段階で、それが身近で容易に得る事ができ、適切に診断と処置をされ、以後の療養方針について正確な指導が提供されることを重要視するという概念です。そのために訓練された一般医・家庭医(プライマリ・ケア医師)がその任にあたります。

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